ISO/TC 261/ASTM F42 国際会議において日本代表団が存在感
オークリッジ国立研究所で加速する国際標準化と日本の貢献

*日本代表団。
ISO/TC 261(アディティブ・マニュファクチャリング)および ASTM F42(Additive Manufacturing Technologies)合同委員会ウィークが、2026年3月9日から13日にかけて、米国テネシー州のテネシー大学ノックスビル校およびオークリッジ国立研究所(ORNL)製造実証施設(Manufacturing Demonstration Facility:MDF)にて開催された。本会合では、日本代表団が国際標準化活動および先進製造技術の両面で大きな存在感を示した。
産官学を横断する日本代表団
今回の会合には、日本から大企業および中小企業、業界団体、政府系研究機関、大学が幅広く参加し、日本としての総合的なアディティブ・マニュファクチャリング(AM)戦略を国際社会に示した。
日本代表団には、以下の組織が含まれた。
- 産業界(大企業・中小企業)➜ IHI、株式会社 明電舎(Meiden)、Polyuse Inc.、金属技研株式会社(MTC)
- 業界団体 ➜ 日本ファインセラミックス協会(JFCA)、日本溶接協会(JWES)、光産業技術振興協会(OITDA:Optoelectronics Industry and Technology Development Association)、北海道立総合研究機構(HRO)
- 政府・国立研究機関 ➜ 産業技術総合研究所(AIST)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国土技術政策総合研究所(NILIM)
- 学術機関 ➜ 東北大学ほか国内大学関係者
こうした多様な構成は、複数の作業部会やISO/ASTM合同活動において、技術的専門知識、政策的な視点、そして実業界での実務経験の提供を可能にし、日本がAM技術を単なる研究開発にとどめず、規格開発・社会実装までを見据えて推進していることを国際的に印象づけるものとなった。
AM建設分野における日本からの標準化提案
特に注目を集めたのが、3月11日(水)午前に開催されたWG2/ASTM F42.01(試験方法)での発表である。
Polyuse Inc. マテリアルエンジニアの 篠野 博士(Hiroshi Sasano, PhD)は、アディティブ・マニュファクチャリングによるコンクリート構造物の強度評価に関する、コスト効率の高い試験方法を提案した。
本提案は国際的に高い評価を受け, 実用性および国際展開性の観点から活発な議論が行われた。その結果、篠野博士は本提案を基に国際標準化を主導する立場を担うことを要請され、これを受諾した。
これは、日本がAM建設分野における国際標準の形成において主導的役割を果たす重要な一歩となる。
*篠野博士がISO TC261 WG-3において、コンクリート構造物の費用対効果の高い試験に関する提案を発表。
ORNL MDF 視察で示された日本製装置の存在感
3月12日(木)には、オークリッジ国立研究所 製造実証施設(MDF)の視察が行われた。施設内では、日本の工作機械・装置メーカーの技術が重要な役割を果たしていることが示された。
MDFで活用されている主な日本企業は以下のとおりである。
- DMG MORI(DMG森精機)
- Mazak(ヤマザキマザック株式会社)
- Okuma(オークマ株式会社)
- Yaskawa(株式会社安川電機)
- JEOL(日本電子株式会社)
これらの技術は、AMの研究・実装を支える中核インフラとして機能しており、日本の製造技術が世界最先端の研究拠点においても不可欠であることを示している。
*私たちはTN Madeの施設を見学しました。
*ORNL MDFで使用されている オークマ株式会社, ヤマザキマザック株式会社, および DMG森精機の機械。
国際標準化を通じた日本の戦略的プレゼンス
今回のISO/TC 261/ASTM F42合同委員会ウィークを通じ、日本は、
- 技術提案による標準化主導
- 産官学一体となった国際会議への参加
- 世界最先端研究施設における日本製装置の実装実績
という三つの側面から、アディティブ・マニュファクチャリング分野における国際的プレゼンスを強く印象づけた。
AM技術が建設、エネルギー、輸送、防衛など幅広い分野へ展開する中、国際標準開発が社会実装の足掛かりとなるという認識が高まっている。本会合は、日本がそのプレーヤーとしてプレゼンスを高めていることを明確に示す機会となった。
詳細はこちら:
ASTM AM CoE Japan Activity Hub
*エノラ・ロジャース氏は日本の CIC Tokyoを拠点として活動しています。


