インプラント、技術革新、国際規格:中野研究室の研究最前線
医療分野における積層造形(AM)の最先端イノベーションをより深く理解するため、ASTM APACディレクターのアレックス・リウ博士と、積層造形製品開発スペシャリストのエノラ・ロジャース氏が、大阪大学中野研究室を訪問しました。今回の訪問は、プロメシアン株式会社代表の古賀洋一郎博士のご尽力により実現しました。お二人を迎えたのは、大阪大学助教授の小笹良輔博士で、医療分野でのAMに関する同研究室の革新的な取り組みについて詳細な説明が行われました。
中野研究室は、AM技術を活用した複数の医療用製品の商業化に貢献しています。その中には、京セラ株式会社のFinesia® デンタルインプラントポスト(リンク)や、ナカシマヘルスフォース株式会社と共同開発した脊椎スペーサー(リンク)などが含まれます。
今回の訪問では、小笹博士が同研究室の中心的な取り組みである、AM材料、特にニッケル合金やチタンの微細構造制御に関する研究や、マグネシウムに関する新たな研究についても紹介しました。研究室では、レーザ照射式粉体床溶融方式(PBF-L)のシステムを2台、Arcam社製電子ビーム溶融方式(EBM)の機器を1台稼働させており、さらにJEOL社製の新しいEBMシステムの導入準備も進めています。研究は、脊椎や歯科用インプラント、そして加工条件を精密に制御することで柔軟性を調整できる多機能インプラントなど、実用的な応用分野まで広がっています。
リウ博士とロジャース氏は、AMの産業化を支援するASTMの世界的な取り組みを紹介しました。これには、最近スペインで開催されたワークショップで推進された戦略的ロードマップの策定活動が含まれます。また、ASTM材料データ・標準化コンソーシアム(CMDS)についても説明がありました。CMDSは、メンバーが共同で材料特性評価やデータ生成に投資できる協力的な枠組みであり、このモデルにより、通常であれば1機種・1材料の組み合わせを評価するのに必要とされる、約150万米ドルおよび12〜18か月といった費用と期間を大幅に削減することが可能です。詳細は、CMDSのウェブサイトをご参照ください。
将来的な協業の可能性を探る中で、チームは日本の物質・材料研究機構(NIMS)をASTM CMDSの試験パートナーの有望な候補として挙げ、日本の研究力と世界的な認証プロセスをつなぐ橋渡しに貢献できる可能性を示しました。
結論:
中野研究室への訪問は、医療分野におけるAMの応用に関し日本がリーダーシップを発揮していることが顕著に示され、標準化および材料データ生成における意義のある協働への道を開きました。AM技術が進化を続ける中、安全で効果的かつ認証済みの技術を世界の医療市場に迅速に届けるためには、こうしたパートナーシップが不可欠です。
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*エノラ・ロジャース氏は日本の CIC Tokyoを拠点として活動しています。